第4回コンサート〈ありがとう、結成5周年!〉
前回から2年半・・・待たせたな。
2021年11月16日(火)19時開演
会場:DAC SpaceDo
*この公演は終了しました。
[メンバー]
大野雄太、大森啓史、下田太郎、塚田 聡、伴野涼介、藤田麻理絵
[プログラム]
アゴスティーノ・ベッローリ
Agostino Belloli [1778-1839]
四重奏曲 第2番
2. Hornquartet
(大森、大野、塚田、伴野)
アレクサンドル・ジャヴォー
Pierre-Alexandre Javault [1785-?]
異なる調のホルンのための3つの四重奏曲 より 第2番
Deuxième quatuors pour cors en différens Tons
(大野、大森、塚田、藤田)
アントン・ライヒャ
Anton Reicha(Antoine Reicha) [1770-1836]
24の三重奏曲 op.82 より 第4集(第19〜24曲)
24 Trios pour trois cors op.82, 3ème Livraison
(下田、伴野、藤田)
L.-F.ドープラ
Louis-François Dauprat [1781-1868]
異なる調のホルンのための六重奏曲 op.10 (大六重奏曲)
Sextuors pour cors en diffèrens tons
(大野、大森、下田、塚田、藤田、伴野)
第4回コンサート、終了しました!
たくさんのご来場をいただきありがとうございました。
結成5周年ということで取りあげたドープラの六重奏曲、メンバー6人がフル回転の曲でした。ナチュラルホルンアンサンブルとしてはラスボスのような(笑)曲ですが、将来いずれまたやることもあるかもしれませんね。
そしてラスボスがいるということは、隠しボスも……?
ライヒャの〈24の三重奏曲 op.82〉もライヒャ生誕251周年でフィニッシュ。op.93のほうも出番を待っているかも。
今回は感染症対策のために席数を絞ったこともあり、チケット完売となりました。ありがとうございました。ご来場が叶わなかった方々にもまた次の機会にお会いできれば幸いです。
話は変わりまして、コンサート前日にナチュホ東京はバンドジャーナルさまの取材を受けました。なんと来年3月号か4月号の表紙にもなるのだとか!
来年3月にはまた水戸でのナチュホキャンプを計画しています。
今後もナチュホ東京の活動にご注目ください。
バンドジャーナル2022年2月号〔コンサート・レビュー〕
ホルンの新しい(古い?)魅力を知る「幸せな」演奏会
ナチュラルホルンアンサンブル東京第4回コンサート●2021年11月16日(火)/スペースDo(東京)
●文=今泉晃一氏(音楽ライター)
ナチュラルホルンとは、19世紀前半まで一般的に使われていたバルブ(ロータリー)の付いていないホルンのこと。それでも、右手を使って自然倍音から音程を変化させることで音階を吹くことができる。現代のホルンに比べれば確かに「演奏に手間のかかる」楽器であるが、その魅力に取りつかれたプロのホルン奏者たちが5年前に結成したのがナチュラルホルンアンサンブル東京(以下、メンバーが使う愛称にならい「ナチュホ」と略す)。その第4回となるコンサートが開催された。
ベッローリの《四重奏曲第2番》、ジャヴォーの《異なる調のホルンのための3つの四重奏曲》と、素直で軽やかな音色や自然にぴたっとハマるハーモニーなど、その魅力を存分に聴かせた。音程を変化させるため右手でベルをふさぐことによるくぐもったストップ音がときおり混じるのだが、そのことが音楽にさらなる陰影を与えている。これは均一な音色ではないということにもなるが、当時の作曲家はこの音色変化も踏まえて曲を書いているので、全員ストップ音→オープンのような和音進行では、現代のホルンにはないドラマティックさも感じられた。
ジャヴォーは曲名通り一人ひとりが違う調性の管を使う。ナチュラルホルンは、クルークと呼ばれる部分を替えることでC(通常のダブルホルンのB管の1音上)からそのオクターヴ下のC bassoまで調性を変えられる。これは1つの調性の管では出にくい音を使うための作曲家の工夫であるが、最大2倍の管の長さを持つ楽器が混在することになり、音域と音色の幅広さにもつながっていることがよくわかる。特にこの日のメインとなったドープラ《異なる調のホルンのための六重奏曲》では各パートが異なる調性で書かれ、さらに楽章ごとに変化する。奏者の個性とともに、パートごとに使う調によっても音のキャラクターが異なり、それを利用した掛け合いなどもあって、非常にバラエティ豊かな響きを聴くことができた。
個人的にこの日最も印象深かったのが、ライヒャ《24の三重奏曲》。この曲は「一定以上の経験のあるホルン奏者なら一度は吹いたことがあるのでは?」というくらいの名曲であり、「ナチュホ」でも演奏会ごとに6曲ずつ取り上げてきて、今回が最後の最も有名な6曲となった。今のホルンで吹いてもその魅力を存分に味わえる曲だが、ナチュラルホルンで聴くと「なるほど! だからここはこういうふうに書いてあるのか」と思わず納得できる部分もあり、新たな魅力を知ることができた。またこの曲では、バルブ付きホルンでも難しいパッセージが「見せ場」となっているが、それをバルブなしホルンで吹くというヴィルトゥオーソも味わうことができた。
演奏会全体としても、ナチュラルホルンという楽器による、ホルンアンサンブルの新しい(古い?)魅力を知ることができ、目から1枚鱗が落ちた感があった。それとは別に、聴いていて思わずニコニコしてしまうような、とても幸せな演奏会だった。冒頭に「演奏に手間のかかる楽器」と書いたが、料理同様、手間には心がこもるもの。それはやはり聴き手に伝わるのだ。
バンドジャーナル4月号の表紙がえらいことに!ページをめくった「スポットライト」のインタビューコーナーにも!